「アプローチの段階で、お客様がこちらに興味を示してくれません。」
今回は「お客様の興味を惹く」方法についてです。
アプローチの段階は、初めてお客様とお会いする場面で、お客様もセールス側も緊張しています。更にお客様は、どんな商品を提案されるんだろう?と警戒もしています。
そんな状況の中でも、アプローチの段階でお客様の興味を惹くことができなければ、次の段階に進むことはできません。初めて会ったこの瞬間に、その後の運命がかかっているのです。
しかし、お客様とまだ信頼関係が築けていないこの段階では、お客様は何に興味があるのかが分かりません。闇雲に世間話を続けても、
この人、いったい何しに来たんだろう?
と思われてしまい、セールスに対する不信感が募ってしまいます。
では、初めて会ったお客様に対して、どんな話しをすればこちらの話に興味をもってもらえるのでしょうか?
もくじ
隙間をネラう
興味を持っていただくには、お客様の心に「フック」を掛けます。
興味を持ってもらえる内容で「フック」を掛けることができれば、お客様は興味を持ってセールスの話しを聞いてくれます。
そんなの分かってる。
「フック」の掛け方が分からないんだ、という方が多いと思います。そこで「隙間理論」というのを活用します。
隙間理論
1994年、カーネギーメロン大学の行動経済学者ジョージ・ローウェンスタイン氏が提唱知識と知識の間に隙間があると、その隙間を埋めたくなるという理論
「隙間理論」というのは、1994年にカーネギーメロン大学の行動経済学者であるジョージ・ローウェンスタイン氏が提唱した理論で、「人は自分の知識に隙間を感じた時に好奇心を感じる」というものです。
テレビでクイズ番組を見ていると、答えはCMの後で!となって、答えが知りたいがために、興味のないCMをそのまま見続けてしまうこと、ありませんか?映画を見始めたら、あんまり面白くないなぁ、と感じているのに結末が気になって、そのまま最後まで見続けてしまうこと、ありませんか? これが「隙間理論」です。
活用してみよう
知識の「隙間」というのは、苦痛を生みます。興味が無いCMや、面白くない映画をそのまま見続ける行為は、見続ける苦痛よりも、答えや結末が分からないという苦痛の方が、はるかに大きいが故の行動です。
それではこれをセールスに応用してみましょう。
初めてお客様にお会いした段階では、お客様からいろいろとお話しいただけることは少ないでしょう。そこでまずは「ラ・ポール」を築きます。 そして少し距離が近づいた段階で、世の中の多くの人が興味のありそうな話しをします。
例えば定年間近のお客様の場合
❶ お客様の状況をヒアリングする
もうすぐ60歳で定年なんだよね。
そうなんですか!?最近そのままお仕事を続けられると仰る方が多いのですが、お客様も引き続きお仕事をされるんですか?
そうなんだよ。そのまま嘱託社員として働こうと思ってるんだ。
この様な会話ができたら、ここからお客様の興味のありそうな話題で話を広げていきます。
❷ 興味のある話題を広げる
人生100年時代と言われていますもんね。何歳ぐらいまで働かれるご予定ですか?
とりあえず年金が受け取れる65歳ぐらいまでは働こうかと思ってるよ。
「年金」というキーワードが出てきたら、すかさずお金に関する話題に移行していきます。
❸ お金に関するテーマを引き出す
そうなんですか。最近は働けるまで働いて年金の受取りを遅くされる方もいらっしゃるのですが、お客様は年金を65歳から受取ろうと決めていらっしゃるのですか?
確か今年から年金は75歳まで繰下げられるんだよね?
こういった話題になると、お客様もメディア等で仕入れた自分の知っている知識をお話しされます。そこで、その話題を深堀りしていきます。
❹ お客様の話に理解を示す
おっしゃる通りです。さすがよくご存じですね。75歳まで繰下げてから年金を受取ると、なんと84%も多くもらえるんですよ。
年金をもらう年齢を遅くすれば遅くするほど、年金額って増えるんだよね?
そしてここで「フック」を掛けます。
❺ 知識の隙間を突く
でも、年金を繰下げしない方がいいケースがあるのはご存じですか?
そうなの?それはどういうケース?
これが「フック」です。ここまでお客様が知っていることについて、セールスと話をしてきました。そこで、突然知らない知識を提示されると、ここに知識の「隙間」が生まれます。 ここまで知っている知識を、高く評価されればされるほど、うまくフックに掛かります。
よろしければ、詳しくご説明しましょうか?
と、お客様の興味を惹いていきます。
テーマごとにフックを用意する
生命保険のセールスにおいては、「介護」や「年金」、「医療」、「相続」といったテーマで話しをしていかなくてはいけません。
そこで各テーマごとにフックを用意しておくと便利です。
- 「介護」というキーワードを引き出すことができた場合
- 「2024年から介護保険制度の内容が変わるのは、ご存じですか?」
- 「年金」というキーワードを引き出すことができた場合
- 「ねんきん定期便って、50歳未満と50歳以上で書かれている内容が違うのをご存じですか?」
- 「医療」というキーワードを引き出すことができた場合
- 「高額療養費制度って、収入が多い人ほど負担も大きい制度なのをご存じですか?」
- 「相続」というキーワードを引き出すことができた場合
- 「相続登記が義務化されるってご存じですか?」
こういった話題を提供して、お客様が「何それ?しらないよ」という場面を作っていきます。
しかし、そんなキャッチーな話題をお客様とするには、セールスの側にも相当の知識がないとできません。新聞を読んだり、テレビのニュースを見たり、yahooニュースを見続けて、ひたすら知識を増やしていく、それはもちろん大切です。
しかし、時間に限りはありますし、ずっと仕事のことを考えているのも疲れてしまいますよね。 では、多くのお客様が知りたい「隙間」、欠けている話題というのはどうやって調べたらいいのでしょうか。
フックのつくり方
それを調べる方法として「Googleトレンド」というものがあります。「Googleトレンド」とインターネットで検索すると、無料で使用できます。
例えば「年金」と調べてみると、関連キーワードとして、「年金 手帳 廃止」「国民 いつから もらえる」「年金 繰上げ 受給」等が表示されます。これは、世間一般の多くの方が疑問に思っていることです。
こういったキーワードを確認できたら、年金手帳の廃止について調べておいたり、繰上げ受給について調べておくことで、お客様から「年金」というキーワードが出てきた際に、お客様の「隙間」を突くことができる様になります。ずっとニュースにかじりついておかなくても、便利なツールがあるわけですね。
アプローチの段階でお客様の興味を少しでも惹くことができれば、セールスの次の段階に進むことができます。そのためにはお客様の「知識の隙間」に「フック」を掛けることが大切です。フックを掛けられるかどうかは、お客様が知らないことを指摘できるかどうかにかかっています。 お客様にお会いする前に、世間一般の人が疑問に思っている事等を調べて、お客様の興味に「フック」をかける準備をしておきましょう。