「お客様から、自分にまた会いたいと思ってもらえないんです。」
どなたかの恋愛相談で出てきそうな悩みです。実はこれも保険セールスパーソンが抱える大きな悩みの一つです。
生命保険は、お客様に1回お会いしただけでは販売することができません。2回、3回とお会いして、しっかりとお客様のニーズを確認し、そのニーズに合った提案をすることで、お客様から信頼を得ることができ、販売につながります。
そこで、アポイントを、2回、3回と取っていかなくてはいけないわけですが、アポイントが取れたとしても、アポイントの直前でお客様の気が変わって、キャンセルされてしまうことはありませんか?
では、アポイントをキャンセルされにくくするには、どうしたらいいのでしょうか。 そこで今回は、モヤモヤ感を使って、次のアポイントまでお客様の心をつなぎとめておく方法、「ツァイガルニック効果」についてです。
もくじ
人は不完全を嫌う
突然ですが、アラビアンナイトの物語は読んだことはありますか?小さい頃に一度は目にしたこと、耳にしたことがあるのではないでしょうか。
そのアラビアンナイトに「千夜一夜物語」という物語があります。「千夜一夜物語」では、こんな物語が展開されています。
妻に浮気をされて女性不信になったアラビアの王が、毎晩街の娘を宮殿に呼んで、一夜を過ごしては首をはねるようになります。そんな中、その状況を好ましくないと思った大臣の娘が、この王に嫁ぐ事を名乗りでます。大臣の娘は毎夜毎夜、王に興味深い物語を語ります。しかし、話が佳境に入ったところで、「続きはまた明日」「明日はもっと面白いですよ」と、話しを打ち切ります。王は、話の続きが聞きたくて、その大臣の娘を生かし続けます。そしてついにその大臣の娘は、王の悪習を止めさせました。
さて、人というのはモヤモヤ感や、不完全なものがあると、「これを完全なものにしたい!」という思いが働きます。これを提唱したのが、ブルーマ・ツァイガルニクという心理学者です。
ツァイガルニク効果
心理学者ブルーマ・ツァイガルニク氏が提唱
人は達成できなかった事柄や、中断している事柄の方を、達成できた事柄よりもよく覚えているという現象のこと
皆さんも、日常生活でこの「ツァイガルニク効果」を良く体感しています。
例えば、テレビのクイズ番組で「答えはCMの後で」となったり、ドラマでは、いいところでCMに切り替わったり、ネットのニュースでは見出しに「あのアイドルが熱愛?意外なお相手とは・・・」と書かれていたりすると、ついつい続きが気になって、興味のないCMを見たり、ネットニュースをクリックしてしまったりしますよね。これは、モヤモヤ感を完全なものにしたい!という人間の心理をうまく使っているのです。
モヤモヤ感を演出しよう
それではこれを、セールスに応用してみましょう。 例えば、アポイントを取得する場面で使ってみるとこの様になります。
どうしても伝えたかったことがあるので…次回お話しします。
何かしら?気になるわ。
個人的にお話ししたかったことがあるので…次回お話しします。
個人的に相談したい事?聞いてあげなくちゃ。
モヤモヤ感を残して商談を終えることで、このモヤモヤ感がお客様の心の中に残ります。そうすることで、この人の話の続きを聞きたい!となり、次のアポイントをキャンセルされづらくなります。
これ以外にも、生命保険の提案が佳境に入ったところで、次回までのお楽しみにしてしまうという方法もあります。例えば、お客様の抱えている課題を明確にして、現在加入している保険では十分ではないというお話をした後、「では、提案は是非次回の楽しみにしておいてください」と切り上げると、かなり強く印象に残るかもしれません。
また、商品説明をした際には、商品の内容でお客様の気持ちを十分に惹きつけておき、「このプランに月々の保険料いくらでお入りいただけるかというと、それは次回設計書をお持ちします」などというのも効果的です。
アポイントをキャンセルされなくするためにやることは、次回のアポイントに向けて、モヤモヤ感を残す、たったこれだけです。簡単にできる効果なので、是非使ってみてください。