「重要な話しをしているのに、お客様に重要さがちゃんと伝わらないんです。」
「見た目」というのがどれぐらいセールスに影響するのか、という点について考えていきたいと思います。もちろん「見た目」と言うのは、服装にしても、顔にしても清潔感があって、お客様から見て受け入れやすい方がいいことに間違いはありませんし、それはセールスにおいて重要な要素です。
そこで今回は皆さんよくご存じの、「メラビアンの法則」についてです。
もくじ
メラビアンの法則
メラビアンの法則
1971年、カリフォルニア大学の心理学者アルバート・メラビアン氏が提唱
著書「Silent messages」の中で、人と人とが直接顔を合わせるコミュニケーションにおいて、言語と非言語の内容が異なる場合、「どんな情報に基づいて印象が決定されるのか」を検証した
「メラビアンの法則」は、人と人とがコミュニケーションを図る際に、服装や表情などの「視覚情報」が最も印象に残るのか、声のトーンや話すスピードの「聴覚情報」が最も記憶に残るのか、それとも話している内容の「言語情報」が最も記憶に残るのかというのを検証した結果です。検証結果によると、次の順番で記憶に残ると言われています。
この円グラフに出ているように、55%はまず「外観(視覚)」、そして38%は「声のトーン・スピード(聴覚)」、そして最後の7%だけが「話の内容(言語)」ということで、93%が「視覚・聴覚」のノンバーバルの部分で占められているということです。
こういったところを踏まえて、『人は見た目が9割』という本*が出版されるぐらい、コミュニケーションにおいて9割は「見た目」が大切だと言われています。
*『人は見た目が9割』竹内一郎(新潮新書)2005年
この様に、「見た目が9割」という言葉が独り歩きした結果、「見た目」が全てだから話す内容は二の次でいい、などと思っている方もいるわけですが、実際の「メラビアンの法則」は意図していることが少し異なります。
実際はどんな実験だったかというと、人と人とのコミュニケーションにおいて、言語・聴覚・視覚から受取る情報がそれぞれ異なった際、言語・聴覚・視覚のどれに引きずられるか、という実験でした。 例えばこの様な感じです。
一点を見つめ怖い顔をしながら「遊園地って、すごく楽しいね」と言った際、人はどのような情報を受取るか、ということです。皆さんが想像される通り、表情で伝わる部分の方が大きいので、「実は楽しくなかったのではないか?」、ということが相手に伝わってしまいます。
イメージと表情は一致させる
例えば、「資産を増やす」という話をお客様にする際、その増やしたお金を使ってどう楽しむかという話をすることが大切ですが、それを淡々と語ってもお客様には響きません。楽しい表情で、楽しく話さなくては、お客様に「資産を増やす」メリットが伝わらないのです。
一方で、「万一の保障」の話しをする際に、にやけていたり、恥ずかしくて半笑いになっていたりしては、これもお客様に伝わりません。「万一の保障」の話は、神妙な顔をして話さなくてはお客様の心に響かないのです。
ですので、話しをしている内容を本当にお客様に伝えたければ、その話の内容にマッチした表情をしたり、姿勢をとったりするということが、とても大切です。「メラビアンの法則」が意図しているのは、「見た目が9割」だから話す内容は二の次でいい、ということではなく、「話す内容」と「表情や姿勢、声色」をマッチさせることが大切ということです。
「お客様に本当に伝えたい感情を、感情に合った表情や声色で伝えられているか?」
ここが一番大切です。 自分の話している姿は、自分ではなかなか分かりません。神妙な顔で話しているつもりでも、もしかしたら半笑いになってしまっているかもしれません。一度、ロープレの様子などをビデオに撮ってみて、客観的な目線で確認してみることをお勧めします。