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13.潜在ニーズの測り方

お客様の潜在ニーズの計り方が分かりません。

ニーズには、「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」の2種類があります。「顕在ニーズ」は、お客様自身が既に気が付いているニーズなので簡単に知ることができますが、「潜在ニーズ」はお客様自身もまだ気が付いていないため、なかなか知ることができません。まさに氷山のように水の中に隠れている部分が「潜在ニーズ」なのです。ただ接しているだけでは、その形はおろか、大きさすら把握することはできません。

しかし、生命保険をご提案するにあたっては、この「潜在ニーズ」の把握が欠かせないのです。そこで今回はお客様のニーズを把握するための物差しとして使うことができる「マズローの5段階欲求」についてみていきます。

 マズローの5段階欲求説

マズローの5段階欲求説

アメリカの心理学者アブラハム・マズロー氏が考案

人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されているという説

「マズローの5段階欲求」とは、耳にされたことがあるという人も多いのではないでしょうか。人間の欲求は「生理的欲求」「安全の欲求」「帰属欲求」「承認欲求」「自己実現欲求」の5段階に分かれていていて、下位の欲求が満たされると、次の欲求を持つようになる、という理論です。この考え方は、今でこそ珍しいものではなくなりましたが、当時は人の欲求を階層に分けて理解するという点で非常に画期的な考え方でした。

人間の欲求段階を階層で説明

5段階は次のイラストの様にピラミッド構造になっています。

左側がマズローが唱えた5段階欲求説。右側は「生命保険に加入したことによって満たされるであろう欲求」です。

マズローの5段階欲求を生命保険にあてはめた場合の考察

一番下が「生理的欲求」となり、生命活動を維持するために不可欠な最低限の欲求です。例えば「食べたい」「眠りたい」といった欲求がこれにあたります。生命保険の場合は、万一のときも自分自身が最低限の生活を送れるようにしたいという欲求があてはまります。

次に「安全の欲求」、これは身体的・経済的に安定した環境で暮らしたいという欲求です。命の危機がある場所から逃れたいとか、経済的に困窮している状況から逃れたいという欲求がこれにあたります。よりよい治療を自分自身が受けるために医療保険に加入するなどの行動は、この安全の欲求に起因するものです。

そして次に「帰属欲求」、これは家族や会社など、何らかのグループに所属して安心感を得たいという欲求です。自分を受け入れてくれる人がいるグループに属して安心感を得たいといった欲求がこれにあたります。生命保険の場合は、一番小さな帰属体である家族から愛されたいという欲求がこれです。家族愛もここからきています。

4つ目が「承認欲求」、これは所属する集団の中で高く評価されたい、自分を認めてほしいという欲求です。仕事での実績を評価されたいと思ったり、SNSで自分の投稿に「いいね!」が欲しいと思ったりする欲求がこれにあたります。万一のことがあった後でも、自分が一人前の社会人として認められたいという欲求が働いて生命保険に加入するとすれば、この欲求を満たすことになります。

そして最後に「自己実現欲求」です。これまでの4つの欲求が満たされた後の最後の欲求です。これは、自分にしかできない事を成し遂げたい、少しでも自分の理想に近づきたいという欲求です。一家の家計を担う者として「当然保険に加入すべきである」という責任感から生命保険を検討する人もいます。これは自分が楽しむお金を犠牲にしれでも実現したいという、自己実現欲求です。

この様に、1つ目の欲求が達成されると2つ目の欲求、2つ目の欲求が達成されると3つ目の欲求という具合に、欲求は段階を踏んでいくという説が「マズローの5段階欲求」です。

全員にはあてはまらないケースも

しかし、この「マズローの5段階欲求」というのは、部分的には異論も唱えられています。下位の欲求が満たされなくても、上位の欲求を求める人がいるのです。

例えば、自分の生活が困窮していて「安全欲求」が満たされていないにもかかわらず、ボランティアをする人、すなわち「自己実現欲求」を満たそうとする人がいます。このことから、「マズローの5段階欲求」は下位の欲求から上位の欲求に進んでいくと考えるよりも、お客様はどの欲求を重視しているのか、という一つの尺度として活用してみてはいかがでしょうか。

お客様の欲求を測る

ニーズ確認の段階で、お客様のニーズを確認するには、お客様に直接的な質問をすることが一番手っ取り早い方法です。

しかし生命保険のセールスにおいて、確認したいのは既に分かっている「顕在ニーズ」ではなく、お客様も気が付いていない「潜在ニーズ」です。ということは、お客様に直接質問してもお客様自身が気が付いていないので答えを得ることができません。

そこでお客様と何気ない会話をしながら、この「マズローの5段階欲求」を活用して、どの様な考えを持った人なのかを探っていきます

例えば、お客様が腕時計をされていたとします。その腕時計が目に入った時に、「素敵な腕時計ですね。どうしてそちらのブランドをご購入されたんですか?」といった質問をしてみましょう。すると、様々な答えが返ってくると思います。

セールス

素敵な腕時計ですね。どうしてそちらのブランドをご購入されたんですか?

安全欲求
「この腕時計、頑丈な時計なんだよ。例えば地震があったとしても、この時計があればどんなときも壊れなくて活躍してくれると思うんだよね。」という答えが返ってきたとしたら、そのお客様は「安全欲求」が強いということが分かります。
自己実現欲求・承認欲求
「この時計はね、ボランティアをした時にもらった記念品なんだよ。これを見ると、ボランティアをしたことが思い出されるんだ。」といった答えがあるかもしれません。その場合、このお客様は「自己実現欲求」や「承認欲求」のところに尺度があるのかもしれません。
生理的欲求
「この腕時計、実は食べられるんだよ。被災しておなかが空いたときなんかに、ペロリとね、いつでも食べられるようにしてるんだ。」なんていう答えであれば、このお客様は「生存欲求」の高い方と言えます。

最後の例は現実的ではないにしても、このように、何気ない雑談から質問した時の返答で、このお客様が重視している価値観、また、欲求といったものを測ることができます。そしてそこからお客様自身も気が付いていない「潜在ニーズ」を導きだしていけます。

お客様と「雑談」をする中で様々な質問をしていき、その返ってきた答えによって、このお客様はどの欲求が強いのか、というのを確認しましょう。

「欲求」を確認することで、お客様の「潜在ニーズ」を導き出すことができ、その後のセールスにつなげられます。「雑談」というのはその場の雰囲気を和ませる方法として最適ですが、その「雑談」をただの「雑談」で終わらせないためにも、お客様のニーズを探る雑談をしてみてください。

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