「お客様にちゃんとメリットが伝わらないんです。」
商品やサービスにはメリットとデメリットがつきものです。逆にメリットしかない商品なんて、怖くて購入する気になりませんよね。
お客様も長い人生経験の中から「メリットしかない商品なんてない」という教訓を持っておられるはずです。したがって、メリットしか伝えないセールスを信用しません。むしろ、デメリットをしっかりとお伝えし、そのデメリットがお客様に及ぼす影響について真剣に話をしてくれるセールスを信用してくれます。
デメリットは必ず伝えるのですが、大切なことはデメリットの伝え方や伝える順番を考えるということです。一般的なデメリットが、目の前にいるお客様にとってのデメリットとは限りません。
では、具体的にどうやっていくのかを見ていきます。
もくじ
挟んでしまえ!
早速ですが、プレゼンの順番はこれです。
え?サンドイッチ?
そうです。メリットを強調するには、「サンドイッチ話法」が効果的です。
サンドイッチ話法
デメリットをメリットとメリットで挟む話法のこと
要するに、メリット→デメリット→メリットの順で話しをする、ということです。
私たちがご提案する生命保険というのは、専門性のある金融商品です。ですから当然ですが、私たちが分かっていることと、お客様が理解していることの間には、知識の差があります。これを情報の非対称性と言いますが、コンプライアンス上、お客様が商品を正しく理解できる様、セールスはデメリットも含めた正しい情報をお客様にお伝えしなくてはいけません。
「デメリットを話してしまったら、お客様から敬遠されてしまって商談がうまくいかない」と考えて、できるだけ印象に残らないように説明する人がいますが、それは大きな間違いです。
正しい判断ができる情報提供をお客様にしてこそ、セールスとしての存在価値があります。さらに、それをやり続けられるセールスこそ、セールスとして長続きします。加えて、デメリットをお伝えすることには、いい面もあります。デメリットをきちっとお伝えすることで、メリットとデメリットには「ギャップ」が生まれ、よりメリットが際立つのです。
しかし、いくらお客様のためだからといってデメリットを単調に説明しているだけでは、商談はうまくいきません。そこで、デメリットをメリットとメリットで挟む「サンドイッチ話法」を活用します。
家電量販店にて
この「サンドイッチ話法」ですが、先日私も、ある家電量販店で体験しました。
私は今、「キックボード」が欲しいと思っています。家からオフィスまで、歩ける距離ではないのですが、満員電車が嫌なので、キックボードがあったら快適に通勤できるだろうなぁと漠然と考えたからです。
そこで家電量販店へ見に行ったのですが、キックボード自体どういうものなのかよく分かっていなかったので、なかなか踏ん切りがつきませんでした。 そこで店員さんからこう言われました。
【メリット】
キックボードは公道でも乗ることが可能で、通勤にも使うことができますよ。
【デメリット】
ただ、雨が弱点です。キックボードは雨では滑りますし、傘をさして乗ることはできません。
【メリット】
でも、行きさえ晴れていれば、帰りは雨でも大丈夫なんです。折りたたんで電車に載せて帰ってくることができるんです。
この様に、メリット、デメリット、メリットの順でキックボードの魅力を伝えてくれました。確かにそうだなと思った瞬間です。
保険提案に応用する
それでは、実際の生命保険営業に応用してみましょう。
例えば、低解約返戻金型の養老保険などは、中途解約による解約返戻金が通常の養老保険よりも低くなっています。でも、そこをメリットに言い換えた提案に変えることができます。
【メリット】
この保険は、お客様に万一のことがあった際はご遺族に死亡保険金が、無事に60歳を迎えられた場合は、満期保険金をお客様が受取ることができます。
【デメリット】
ただし、60歳までに解約されると解約返戻金はほとんどありません。
【メリット】
実はお金が貯まらない一番の大きな理由は、お金が溜まったら使ってしまうということにあります。解約しにくいものだからこそ、老後の資金として貯めていただけますよ!
保険料払込期間中の解約返戻金が少ない保険というのは、万が一保険料を支払えなくなっても解約しにくいので、多くのお客様が難色を示されるものです。一方で解約返戻金がほとんど無い、というデメリットは必ずお伝えしなくてはいけません。
このとき、そのデメリットをお伝えするだけではなく、解約しにくいからこそのメリットを続けてお伝えすることで、「解約返戻金がほとんど無い」というデメリットは、逆にメリットに聞こえてきます。
高齢期は一般的に認知機能の低下があり、更に物事をポジティブに捉える傾向が高まります。
また「自信過剰バイアス」と言って、自分の行動に根拠のない自信が出てしまうとも言われています。したがって、デメリットを、よりデメリットらしく伝えないといけません。この点については、金融ジェロントロジーの観点から見て、とても重要なポイントです。私たちの仕事はお客様に正しく理解をいただくことが仕事です。目的を見失わないようにしてください。
繰り返しになりますが、デメリットの後のメリットは、何でもいいわけではありません。
先のデメリットを払拭できるものにすることで、プレゼンにストーリー性が出て、お客様が理解しやすくなります。そして、メリットの部分が気持ちよく伝わります。慣れるまで少し大変かもしれませんが、是非チャレンジしてみてください。