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28.最後は信じる

セールスのプロセスが進み、お客様に、提案内容を気に入っていただいたにも関わらず、その後お客様と連絡がなかなかつかなくなってしまうんです。

お客様がこちらの提案に納得されたのに、その後の連絡がなかなかとれなくなってしまう、こんな経験ありませんか?

この様なお客様には、どう対応したらいいのでしょうか。答えはこちら、「まずはお客様の気持ちを信じてみましょう!」です。

「お客様を信じてひたすら待つ」、ちょっと精神論的で、何が「行動経済学」だ、という声が聞こえてきそうですが、今回はこれを精神論としてではなく、科学的な根拠からお話ししたいと思います。

ギリシャ神話から

今回お伝えしたいのは、「ピグマリオン効果」です。

ピグマリオン効果

他者から期待を受けると、成果を出すことができる効果のこと

ギリシャ神話に、この様な話があります。

「ギリシャ神話の彫刻家ピグマリオン」
現実の女性に失望していたピグマリオンは、あるとき自ら理想の女性を彫刻した。そしてその彫刻を「ガラテア」と名付けた。その像を見ているうちに、ガラテアが服を着ていないことを恥ずかしいと思い、服を掘り入れた。彼は食事を用意したり、話しかけたりするようになり、そのうち自らの彫刻に恋をするようになる。そしてその彫刻が人間になることを願った。次第に彫刻から離れないようになり、衰弱していく。見かねた女神アフロディテがその願いを受け入れ、彫刻に生命を与えた。

「ピグマリオン効果」のピグマリオンと言うのは、ギリシャ神話に出てくる彫刻家のことです。このピグマリオンという彫刻家は、実際にいる女性に失望してしまい、自分で理想の女性を作ろうと考えました。そこで理想の女性を彫刻していくわけです。

そしてその彫刻が洋服を着ていないことに、恥ずかしいという想いが出てきます。そこで洋服も彫刻します。話しかけ、一緒に食事をしているうちに、だんだんその彫刻に恋をしてしまいます。そして彫刻から離れなくなり、どんどん衰弱していきます。それを見た女神アフロディテが、ピグマリオンを可哀想と思い、その彫刻に命を吹き込みます。そして最終的に、ピグマリオンはその彫刻と結婚した、というお話しです。

このように、信じているものが実現していくという状況を、「ピグマリオン効果」と呼びます。

教育学で実証

ピグマリオン効果が研究されているのは、教育学の分野です。

こんな実験がありました。

AというクラスとBというクラスがあります。この2つのクラスに、無作為に生徒を振り分けます。無作為に選んだので、本当は生徒のIQはバラバラなのですが、各先生にはこう伝えます。

研究者

Aのクラスには、非常にIQの高い優秀な生徒を揃えました。だから必ず成績が向上します。

研究者

Bのクラスには、IQの低い人たちを揃えたので、成績はなかなか向上しないかもしれません。

その後、AのクラスとBのクラス、どのように成績が変化したかというと、Aのクラスの成績の方が断然伸びたのです。Aのクラスの先生と生徒に何が起こったのでしょうか?

これには、2つの要因があると考えられています。

1つは、Aのクラスの子たちはできる子達だと信じた先生が、一生懸命教えたから、そしてもう1つは生徒たちが、一生懸命教えてくれる先生に応えようと頑張ったから、ということです。

ただ、どちらの生徒も無作為に選ばれた生徒たちです。これが最初の情報だけを信じることによって、結果が変わったというのは、非常に大きな発見ではないでしょうか。

信じる者は救われる?

この様なことをセールスにも応用していくと、この「ピグマリオン効果」、クロージングの場面で、弱い私たちの心をサポートしてくれるものになります。

冒頭で紹介したとおり、こちらの提案を気に入っていただいたにも関わらず、その後連絡がとれなくなってしまったお客様、まずは信じて待ってみましょう。このお客様は必ず私の提案を気に入ってくれて、そしてご自身の問題に向き合い、解決に動いてくれるはずだと信じてみましょう。そうすることで、前述の先生の様に、セールスの行動も変わります。

お客様を信じることができず、焦って何度もお客様と連絡を取ろうとしてしまうと、「このセールス、なんだか契約を焦らされて嫌だわ」とお客様は感じてしまうかもしれません。一方で、信じて待つことで、お客様はじっくり考える時間を与えられ、「よく考えたけど、良い提案だから契約しようかしら」となるでしょう。 お客様を「信じて待つ!」、そうすることによって、ピグマリオンのような結果を生み出していくことができるかもしれません。連絡が無いからと言ってお客様を非難しても始まりません。ピグマリオンを信じて、待ちましょう!

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