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損失を予期させる株価の大きな下落

03.損から切り出す

すごくいい話しなので聞いてください!と言っても、お客様が全然話しを聞いてくれません。

いい話なので聞いてみないかと問いかける男性の手とそれを拒む客

 得な話なのに聞きたくない?

私たちがお客様にお勧めをする生命保険というものは、お客様が本当に困った際に役に立つ素晴らしい商品です。その素晴らしい商品をお客様にご理解いただきたいと思って、アプローチするわけですが、多くの場合こんなアプローチをしてしまいます。

セールス

お客様、いい話なので聞いてもらえませんか?

お客様

今のところ間に合っています。

こんなアプローチでは、なかなか話しを聞いてもらえないですよね。では、どうすればいいのでしょうか。

 人の選択行動を考える

突然ですが、質問を2つします。

 Q1.あなたにお金を差し上げます

あなたなら、❶❷のどちらを選択しますか?

  • 必ず80万円差し上げます。
  • 100万円差し上げます。ただし、クジを引いてください。100本中15本はハズレです。ハズレを引いた場合は1円も差し上げません。

❶は必ず80万円もらえます。❷はもしかしたら100万円もらえるかもしれませんが、もしかしたら1円ももらえないかもしれません。確実に80万円をもらうのか、0円になるリスクを覚悟の上で100万円もらえるかもしれないクジに挑戦するのか、皆さんはどちらを選択しますか? 少し考えてみてください

ではもう1つの質問です。

 Q2.あなたにお金を支払ってもらいます

あなたなら、❶❷のどちらを選択しますか?

  • 必ず80万円支払ってください。
  • 100万円支払ってください。ただし、クジを引いてください。100本中15本はアタリです。アタリを引いた場合は1円も支払う必要はありません。

今度は「支払う」という場面です。

❶は必ず80万円支払ってください。❷はもしかしたら100万円を支払わなくてはいけないかもしれませんが、もしかしたら1円も支払わなくていいかもしれません。確実に80万円を支払うのか、100万円支払うリスクを覚悟の上で0円になるかもしれないクジに挑戦するのか、皆さんはどちらを選択しますか?

こちらも少し考えてみてください。

 経済的合理性のある解答は?

さて、2つ質問をしました。1つは「もらえる」という場面、もう1つは「支払う」という場面、言い換えると、「得する場面」と「損する場面」です。それでは答えを見ていきましょう。

 得する場面

まずは「得する場面」です。「得する場面」で多くの人がどちらを選択するかというと、❶です。皆さんも❶を選ばれたのではないでしょうか?「もらう」という場面では、確実に80万円をもらうという方を選ぶ人が多いのですが、期待値=事象が発生する確率を見てみるとこうなります。

❶は、確実に80万円もらえるので、期待値は+80万円です。一方で❷は、100人中15人は0円、85人は100万円なので、期待値は+85万円となります。これを見ると、期待値は❷の方が高いのです。ということは、論理的には❷を選んだ方が得をするはずです。しかし、多くの人は❶を選びます。

 損する場面

それでは「損する場面」の方はどうでしょうか。「損する場面」で多くの人がどちらを選択するかというと、❷です。皆さんも❷を選ばれたのではないでしょうか?「支払う」という場面では、確実に80万円支払うということを選ばずに、100万円支払うリスクがあるけれども、1円も支払わなくていいかもしれない、という可能性を多くの人が選択します。

こちらも、期待値=事象が発生する確率を見てみましょう。❶は、確実に80万円支払うので、期待値は-80万円です。一方で❷は、100人中85人は100万円、15人は0円なので、期待値は-85万円となります。 こちらは、期待値は❶の方が高くなります。ということは、論理的には❶を選んだ方が損をしないはずです。しかし、多くの人は❷を選びます。

 人は合理的に判断できない

舞い散るドル紙幣の中で頭を抱える女性のシルエット

この様に、人は得をする方、損をしない方を選びたいと思っているにも関わらず、感情に引きずられて、得をしない方、損をする方を選んでしまいます。

これがどんな場面で顕著に現れるかというと、株式や投資信託の売買の場面です。株式と投資信託は、買い時よりも、売り時がとても大事だと言われます。ところが、株価の上昇局面では、ちょっと値上がりをしたところで利益を確定して売却してしまう、ということありませんか?持ち続けていればもっと株価が上がる可能性が高いにもかかわらずです。逆に、株価の下降局面においては、ちょっと損失が出たところで損切をすればいいのに、そのままずるずると持ち続け、その後どんどん値下がりしていき、結局売却できずに塩漬けにしてしまう、ということありませんか?

こういった場面で、人は「損失回避性バイアス」の影響を非常に強く受けているのです。

損失回避性バイアス

「報酬」よりも「損失」の方を大きく評価するバイアスのこと

 損失に訴える

人は「得する話」より、「損する話」に興味を持ちます。「損失回避性バイアス」がかかるのです。そのため、アプローチ段階での話しかけ方に、工夫が必要です。

それではこの「損失回避バイアス」をセールスに応用してみましょう。

冒頭でもお話ししたとおり、私たちが提案する生命保険というものは、お客様が不測の事態に陥った時に役立つ素晴らしい商品です。そんな素晴らしい商品を扱っているセールスパーソンは、その素晴らしさを何とかお客様にお伝えしようと、「いい話があるんです!」とアプローチしてしまいます。しかし、これではお客様は話しを聞いてくれません。

お客様の立場に立ってみてください。お客様はセールスから話しを聞いたら、何かを提案される、何かに申込まなくてはいけない、と警戒しています。ですから、「得する話し」というのは、「聞かなくても得しないだけなので別にいいわ」となるわけです。しかし、「話しを聞かないと損をしますよ」というアプローチをすれば、「損をするなら聞かないといけないかしら」となり、話しを聞いてもらえる確率が上がります。

アプローチの段階では、

セールス

【NG例】

今回私がお話しするのは、聞いて得をする話です。是非聞いてみませんか?

セールス

【GOOD例】

今回私がお話しするのは、聞かないと損をする話しです。是非聞いてみませんか?

このように「聞かないと損をする」ということを強調してみましょう。そうすることで、お客様に「損失回避性バイアス」が働き、「損をするなら聞かなくちゃ」という考えから話しを聞いてもらえる様になります。

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