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23.行動変容に繋がる魅惑のプレゼン

商品のプレゼンテーションが、お客様に響きません。

商品のプレゼンテーションを一生懸命しても、お客様に良さが全然伝わらないという方が多くいらっしゃいます。

それは話す順番が間違っているからかもしれません。

説明する順番

例えば、医療保険のプレゼンテーションをお客様にする時に、こんな順番でお話しをしていませんか?

  • 医療保険の新商品が出ました。
  • この医療保険は、1日目から給付金が出ます。
  • いかがですか?これをお選びになると、すごく安心ですよ。

順番で言うと、一番最初にWhat、次にHow、そして最後にWhy、という流れでプレゼンテーションをしています。特に違和感はありませんよね。

一見、分かりやすく、正しい順番で説明をしている様に感じます。

この順番に対して、プレゼンテーションの順番が違うとおっしゃった方がいます。

ゴールデンサークル理論

2009年にサイモン・シネック氏が、TED TALKでプレゼンした「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」の中で提唱された理論

  • Why:なぜ、この商品を作ったのか?
  • How:この商品でどんなことができるのか?
  • What:どんな商品か?どんなアイデアか?

Why→How→Whatの流れで説明すると人は動く

「ゴールデンサークル理論」とは、次のイラストの様にプレゼンテーションの順番をWhyから始めて、How、Whatと続ける、という理論です。

多くの人はプレゼンテーションをWhat、How、そして一番中心のWhy、という順番で行っています。なぜかというと、「What」というのは、何をするべきか、何をしたかということになるので、経営陣を含め、会社にいる人はその事実をよく知っています。そのため、「新商品が発売されました」という事実から入ってしまうのです。

そして次に、この商品にはこんな機能があるという「How」の話をします。そして、「Why」の部分、なぜこのサービスや商品を開発したのか、なぜこのサービスや商品をご提案しているのか、という信念に通じる部分に至っては、お話しせずに終わってしまうことが多いのです。

そしてこの順番で話しをすると、相手は動機づけられず、行動が変容しないと言われています。

そこでサイモン・シネック氏は、この順番、つまりWhat、How、そしてWhyの順番ではなく、真ん中のWhyから話しをしていくべきだと唱えました。

あの人も、あの会社も

このWhyから始めることを徹底している企業があります。それが皆さんよくご存じのAppleです。

Appleは、この商品をなぜ開発したのかという「Why」から話しを始めます。その信念から始めることで、多くの人の共感を得られるのです。

他にも、キング牧師であったり、ライト兄弟であったり、今まで世の中を変えてきた人は必ず「Why」から始めています。この「Why」から始めるというのは、生物学的にも裏付けがあります。 次のイラストをご覧ください。人間の脳の断面を2つの要素に分けたものです。

まずは大脳辺縁系です。ここは感情や本能の機能をつかさどる部分で、人間の脳のうちで最初に育つ部分です。WhyやHowに対応するため、Whyから伝えることで、意思決定と行動をつかさどる脳に直接働きかけ、人の心を動かします。

次に大脳新皮質です。ここは論理的な言語の機能をつかさどる理性的な部分で、大脳辺縁系の次に成長する部分です。Whatに対応し、行動や決定した理由を後付けし、理性で納得させます。 そのため、Whatから伝えても、行動をつかさどる脳に届かず、人の心を動かせないのです。

理念が共感を生む

それではこの「ゴールデンサークル理論」をセールスに応用してみましょう。

冒頭で見ていただいた、What→How→Whyの順番での医療保険のプレゼンテーションを、Why→How→Whatの順番で行ってみます。

まずWhyの部分、

セールス

【WHY】

入院の短期化に合わせて、お客様へ経済的な保障を届けることを我々は考えています。

そして次にHowの部分

セールス

【HOW】

そのために、これまでの入院4日目から出る保険ではないものを、開発しました。

そして最後にWhatの部分

セールス

【WHAT】

診断されたらすぐに給付金が出る新商品なんですけれども、いかがでしょうか?

理念からお伝えしていくと、この様な流れになります。そうすることでお客様は、会社の理念や、商品、サービスを開発した背景が理解できるので、スッとご納得いただけるのではないでしょうか。

プレゼンテーションの肝は、「相手の気持ちを動かす」ことにあります。

そのためには、「なぜこの商品が開発されたのか」「なぜ会社はこのサービスを考えたのか」といった、「Why」、理念についてお話しをすることが大切です。そうすることによって、お客様の感情に訴え、共感を呼び、行動を促すことができるでしょう。

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