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 転職や転籍したら?

 転職・転籍・出向

一般課程試験は生命保険の募集活動を行う人だけでなく、販売を支援する人も取得しなければならない試験です。営業の最前線に係る営業職は次の2つに大別されます。

 ❶ 直接営業(お客様に保険を販売する役割)

  • 生命保険会社に所属して、生命保険を直接販売する
  • 銀行や信託会社の窓口で保険提案をする行員や社員になる
  • 金融機関の別働代理店で保険を販売する
  • 乗合代理店で募集人として保険を販売する

 ❷ 間接営業(保険募集人をサポートする役割)

  • 銀行窓販専業の保険会社でホールセラーとして、銀行員や社員をサポートする
  • 保険会社の代理店チャネルでソリシタとして、保険募集人をサポートする

ひとつの生命保険会社で同じ役割を全うする方もいますが、自分のキャリアアップのために上記の役割を変えて仕事をする人もいます。そのとき、別の保険会社へ転職したり、保険会社から銀行へ転職するというケースが発生します。

また、同じ保険会社のグループ内であれば、転籍や出向という形で役割が変わる人もいます。

 業界共通試験の資格はなくなるの?

生命保険会社とは全く異なる企業へ転職する場合、保険会社で取得した「業界共通教育課程」の資格は全て無くなります。退職をするときに「廃業申請」をすることにより、全て無くなってしまうのです。

一方で、引き続き保険販売を行う同業界への転職や転籍の場合は、在籍元と在籍先との関係性によって資格維持の状況が大きく変わります

生命保険会社から別の生命保険会社への転職の場合

この場合、資格の移管はかなり難しいです。
転職時に人事部門へ「ライバルの保険会社である○○生命へ転職するんです!」と言ったときに、受験費用を負担した元の会社が喜んで資格の移管をしてくれるでしょうか?それは、まず難しいことですし、転職時にライバル会社へ行くことを告げないケースも多いのではないでしょうか。

銀行や証券会社から生命保険会社への転職の場合

転職時に人事部門へ相談し、理解をいただけるようであれば、その銀行や証券会社から代申会社を経由して移管をすることができます。例えば、地方銀行の銀行窓口で保険提案を行っていた銀行員が、結婚を機に都内に住むことになったとします。地方銀行は都内にも法人融資専用の店舗はありますが、ずっとその店舗で仕事ができるわけではありません。そこで、地方銀行を辞めて生命保険会社に転職をするケースはあります。このような場合などは、元の会社である地方銀行側も一定の理解をしてくれますし、移管することが可能なのではないでしょうか。

同じ保険会社のグループ内転籍の場合

まず問題なく、移管することができます。おそらく、そのような心配をせずとも、転籍先の人事部門が転籍元の人事部門とやり取りをして完結をさせてくれます。

出向の場合

出向というのは、籍はもともとの会社に置きながら、保険販売の実務は別の会社で行うケースです。例えば、生命保険会社から銀行や証券会社へ出向するケースなどがこれにあたります。この場合は、当然在籍場所は変わっていませんので資格には何も影響をしません。

転職を何度もすると、そのたびに一般課程試験を受けなければならないという現実があります。非効率なことですが、今の保険業界の仕組みとして仕方がないものなのかもしれませんね。転職する際は、転職する先の人事部門の方にいろいろと相談をすると良いと思います。

* 代申会社とは
銀行や乗合代理店が保険募集人登録の申請や届出を行う場合は、通常、代理店の所属する保険会社を代理人として手続きが行われます。この代理店が所属する所属保険会社を代理申請会社といい、通称「代申会社」と呼びます。所属保険会社が複数の乗合代理店の場合は、所属保険会社のうちの1社が代理申請会社にとなります。この代表の会社は、募集人の登録や移管の実務を行う役割があります。

 生保大は復活する

転職先へは、一般課程の資格を移管できないケースが多いということをお話しました。では、一般課程試験の後に受ける、専門課程や応用課程はどうなるのでしょうか?

実は一般課程に再度合格すると専門課程や応用課程は復活します。更に生命保険大学(通称「生保大」)もすべて復活します。逆に復活しないのは、変額保険販売資格試験や外貨建保険販売資格試験です。これらは、特定金融商品であることから再度受験が必要になっているようです。

 本社勤務になったら?

生命保険会社の本社組織、例えば数理、企画、総務などへ配属が移るケースはどうでしょうか?

古い言い方をするのであれば、内勤とも呼ばれる仕事です。これらの職種は、同じように生命保険を扱う仕事ではありますが、保険営業とは異なった役割をすることになります。

例えば、以下のような部門です。

数理部門

保険会社は定期的に保険商品の開発を行っています。

新しい保険商品は社会的ニーズやお客様の要望を加味しながら設計しますが、生命保険会社が永続できるような保険商品を開発しなければ意味がありません。そこで保険給付する際の生存率や死亡率、保険事故の発生率などを分析し、保険料へ反映させます。この際、高度な数学・統計学の知識を用いて数理計算することになります。その計算を担うのが数理部門です。したがって、保険商品の概要を決める商品部門と密接な関係があります。

また、保険会社の決算時には、数理の力がないと報告資料が完結しません。生命保険会社の中でも花形職のひとつです。

企画部門

生命保険会社には2つの企画部門があります。総合企画部門と営業企画部門です。

総合企画は、金融庁から指示に沿ったガバナンス体制を整えます。また保険会社の数年先のビジョンなどをまとめる業務です。生命保険会社の対外的な顔になる部門でもあり、広報部門とも密接に絡みます。金融庁のレポートやパブコメを見て、自分の保険会社が数年後に直面する課題などを見つけ出します。

一方で営業企画は、保険会社の業績目標を計画し、どのように達成するかを企画する部門です。業績が好調な理由や不調な理由を分析して、改善企画を提案することが求められます。業績に密接に関連する要素は、社会的な環境も要因になりますし、保険営業マンのモチベーションも影響します。また法律とも関連してくるため、幅広い知識が求められる部署です。

総務部門

保険会社だけでなく、どのような会社、どのような大きさの会社にも必要不可欠な部門です。

小さい会社だと、言葉のとおり他の部署では吸収しきれない仕事を引き受けている場合もあります。生命保険会社の場合は、組織が大きいため、総務部門の役割は比較的明確になっています。各部署の内線や外線の管理や外部業者の管理、保険会社が所有する備品等の管理、プリンター等のトナー代など全社的に管理したほうが良いことを担っています。

近年はデジタル資産が増えてきました。電話回線で内線を構築するのではなく、LANを経由したIP電話で構築するケースも出てきています。また、会議室がなくなりウェブミーティングなどに移行しており、デジタル化が進んでいます。その意味では、システム部門とも密接に関連する部門になってきています。

この場合でも、正社員であれば一般課程試験の資格は必要です。この点からも保険業界で仕事をする上での常識的な資格であると言えます。加えて、内勤は募集人資格とは異なる試験を受けることになります。それが生命保険講座で、通称「生保講座」と呼ばれています。

こちらの試験は、試験内容がより学術的になり難しくなります。保険営業マンが人と接する技術を学ぶ代わりに、業務に関してはより深い知識が求められるということです。